「ICQ」とは、今から24年ほど前のインターネットで生み出された“インスタントメッセージ”が送れるフリーソフトです。
現代におけるLINEやWeChatのようなサービスですが、スマホが登場する遙か昔、インターネットという存在がようやく広まりを見せた頃に開発されました。
今となってはメールアドレスを使わずに簡単なメッセージを送れるシステムは至って普通のサービスです。
しかし、当時の通信を使ったコミュニケーションは、良くてもチャットや掲示板といったオープンなサービスで行われる段階でした。
ICQは革命的な存在として1億人を超えるユーザーを魅了し、インスタントメッセージアプリの草分け的な存在となったのです。
「即レスポンスができるリアルタイムメッセージ」「個別のトークルームで行われる1対1の個人的なやりとり」、そして「メッセージが到着した際の通知」…。
LINEやWeChatの利用時に私たちが味わった感動は、ICQが開発された20年以上前のインターネットで行われていたものでした。
またICQにてすでに「ID交換」のような技術も導入されています。
チャットや掲示板で知り合ったユーザーが、より内密な会話を楽しむためにICQのID交換が行われたものです。
これは学校の友人や職場の同僚とLINE IDを交換するシステムを彷彿とさせ、思い返せば現代のアプリにおける地盤となるサービスでした。
SkypeやSlackを利用したユーザーには馴染みが深い「オンライン/オフラインの状態表示」も、ICQで導入されていた画期的な機能です。
自身の状態にかかわらず接続状況を選択できるということは、「他の人に邪魔されずAさんにだけ相談したいことがある」と言ったような、コミュニケーションのセンシティブな部分への解決策になります。
ICQは、インターネット利用が多様化した現代において不可欠となっている技術の発展に貢献していたのです。
ICQはインターネット過渡期において、世界中のユーザーを魅了するソフトでした。
一方で、LINEやSkype、Slackなどの後発メッセージアプリの台頭で徐々にその席を奪われてしまいます。
現在ではインスタントメッセージアプリとしての機能はほとんど活用されていません。
また、開発会社であるイスラエルのMirabilisは、2024年6月26日に当該サービスの終了を発表しており、今後は後継アプリの利用を案内しています。
しかしFacebookやTwitterなどのSNSクライアントとしてモダンなサービスを展開しており、インターネットの歴史を支え続けています。
コミュニケーションアプリ戦国時代の現代において、メッセージ機能を有するサービスとしてのICQは過去のものとなってしまいました。
しかし、LINEやWeChatの地盤を築くサービスであったことには変わりありません。
歴史を知る上で、必ず押さえておきたいサービスになるのではないでしょうか。